「陰翳礼讃」と日本的なもの 建築と小説の近代

  • 文学
  • 芸術・美術
小説家としての谷崎潤一郎の名前を超えて、ひろく、長く読まれてきた「陰翳礼讃」―― 陰翳とは何か。それが日本的なものだとはどういうことか。



谷崎潤一郎、夏目漱石、ブルーノ・タウト、岸田日出刀、堀口捨己、丹下健三、磯崎新、石川淳、黒澤明、伊東忠太、坂口安吾、岡本太郎、前川國男、横山大観、横光利一、下田菊太郎、小林秀雄……
建築と小説という異なる領域の交錯する地点から、日本的なものという1930年代の主題を捉えなおす。
  • 中村 ともえ(なかむら ともえ)(著者)
  • 価格(税込)
    3,520円
    体裁
    四六判上製 328頁
    ISBN
    9784-86624-115-9
    発刊日
    2025/03/07

    目次

    序章 「陰翳礼讃」を読み解く
     一 谷崎の羊羹、漱石の羊羹
     二 美は物体にあるのではない
     三 建築の比喩
     四 建築と小説の一九三〇年代
    
    Ⅰ部 タウトと日本の建築、タウトと日本の建築家
     第一章 桂離宮の弁証法 ―― ブルーノ・タウトの「第三日本」
      一 桂離宮のタウト、タウトの桂離宮
      二 天皇と将軍のアンティテーゼ ――『ニッポン』
      三 床の間とその裏側 ――『日本文化私観』
     第二章 建築における日本的なものという主題 ―― タウトと日本の建築家たち
      一 「国際建築」の日本建築特集
      二 タウトを借りる ―― 岸田日出刀・堀口捨己
      三 タウトを消去する、タウトを呼び戻す ―― 丹下健三・磯崎新
    
    Ⅱ部 フィクションの中の建築家
     第三章 ブルーノ・タウトと日本の風土――石川淳『白描』と井上房一郎
      一 タウトと井上房一郎
      二 昭和十一年、タウトの離日
      三 民衆とその裏側
      四 昭和十一年を振り返る
      五 その後の井上房一郎
     第四章 美しい日本、戦う日本 ―― 黒澤明のシナリオの中の建築家たち
      一 タウトはいつ日本にいたのか ――「達磨寺のドイツ人」
      二 老建築家の日本建築論 ――「静かなり」と伊東忠太
      三 戦う日本 ――「達磨寺のドイツ人」と映画『新しき土』
    
    Ⅲ部 建築の語り方、「日本」の語り方
     第五章 喪失と発見―― 坂口安吾「日本文化私観」と岡本太郎
      一 発見と再発見 ―― 坂口安吾「日本文化私観」
      二 ブルーノ・タウトの「日本精神」
      三 (再)発見したのは誰か ―― 岡本太郎の日本論
      四 美と郷愁 ― 坂口安吾「日本文化私観」
      五 彼我の日本文化論
     第六章 富士山という解答 ―― 丹下健三「大東亜建設忠霊神域計画」と横山大観
      一 大東亜建設記念営造計画案コンペ
      二 コンクリートの伊勢神宮
      三 大地を区切る
      四 皇紀二六〇〇年の富士山 ―― 横山大観「海山十題」
      五 日本画風の富士山と「海行かば」
    
    Ⅳ部 長編小説の中の建築家
     第七章 結婚と屋根 ―― 横光利一『旅愁』と建築の日本化
      一 ヨーロッパにおける日本的なもの
      二 伊勢神宮とタウト
      三 建築と精神の日本化
      四 帝室博物館の屋根
      五 アンビルドな家
     第八章 帝国における結婚 ―― 谷崎潤一郎『細雪』と建築家という結び
      一 昭和十六年春、雪子の結婚という結末
      二 建築家と日本的なもの
      三 平安神宮と二重橋
      四 雪子はいつ結婚するのか
      五 戦争の語られ方 ―― 映画・演劇の場合
      六 戦争の帰結、雪子の行方
     終章 「陰翳礼讃」を振り返る
      一 創元選書『陰翳礼讃』
      二 比喩としての故郷喪失 ―― 小林秀雄「故郷を失つた文学」
      三 陰翳と含蓄
      四 「陰翳礼讃」とは何だったのか
    
    あとがき
    年 表
    索 引
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    著者紹介

    中村 ともえ(なかむら ともえ)
    1979年、静岡県生まれ。新潟市出身。
    静岡大学准教授。専門は日本近現代文学。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。
    著書に『谷崎潤一郎論―近代小説の条件』(2019年、青簡舎)、 『新派映画の系譜学―クロスメディアとしての〈新派〉』〈共著〉(2023年、森話社)、『翻訳とアダプテーションの倫理 ジャンルとメディアを越えて』〈共著〉(2019年、春風社)などがある。

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