旅人の食 旅の記録と食風景

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曲亭馬琴の江戸時代に始まり、清河八郎、中濱万次郎、福沢諭吉、イザベラ・バード、鳥居龍蔵・鳥居きみ子に至るまで。
人類の歴史は食を求めての旅であった。



私生活では、生真面目で酒を好まず、ほとんど外食もしなかったという馬琴。のちに奇想天外な長編小説を生み出した原動力は、江戸を離れ、非日常の時空間に身をおいた数か月の体験にあったのかもしれない。

作家が旅した上方・曲亭馬琴



視野の広さと総合性で今なお高く評価される鳥居龍蔵の学問は、ともに歩いた妻子による台所からのまなざしに支えられていたともいえるのである。

人類学者のモンゴル踏査・鳥居龍蔵・鳥居きみ子



未知なる土地へ道を拓いた人々、その記録をたぐり寄せることで見えてくる食風景――



饗宴の際に必ず出される洋酒。グラスに浮かんでいるのは、氷である。(…)時節は春の盛り。よもや氷があるとは思いもしない。驚愕の体験のひとコマである。

幕臣たちの文明体験・遣米使節団と福沢諭吉



意外なところで西洋料理を食する機会をえている。その店は秋田(久保田)にあり、ビフテキやカレーを堪能したイザベラは「眼が生き生きと輝く」ような気持ちになった。

異国人女性がみた明治の日本・イザベラ・バード




装画:中島梨絵さん
装幀:三木俊一さん(文京図案室)


▼△書評・メディア掲載情報△▼
・日本経済新聞(2025年1月11日)/書評
・東京新聞(2025年1月18日)/書評
  • 山本 志乃(やまもと しの)(著者)
  • 価格(税込)
    2,640円
    体裁
    四六判並製 280頁
    ISBN
    978-4-86624-108-1
    発刊日
    2024/11/26

    目次

    はじめに
    
    Ⅰ.遊山と紀行
     巡見使と歩いた奥州―古川古松軒
     作家が旅した上方―曲亭馬琴
     女たちの物見遊山―小田宅子・桑原久子
     街道の茶店と名物―鍋屋嘉兵衛
     食道楽の伊勢参り―讃岐国志度ノ浦講中
     幕末志士の母孝行―清河八郎
     大地震下での旅日記―宮負定雄
    
    Ⅱ.放浪と冒険
     市に集う人と物―菅江真澄
     山伏の歩く道―野田泉光院
     孤高の俳人―井上井月
     東北人の南島探検―笹森儀助
     富士山頂での越冬―野中到・野中千代子
     極地をめざして―白瀬矗
     流転と無一物―尾崎放哉
    
    Ⅲ.越境と雄飛
     異国への漂流―大黒屋光太夫
     鯨を追って―中濱万次郎
     黒船の饗宴―ペリー艦隊と幕吏たち
     幕臣たちの文明体験―遣米使節団と福沢諭吉
     異国人女性がみた明治の日本―イザベラ・バード
     密林縦断探検行―岩本千綱
     人類学者のモンゴル踏査―鳥居龍蔵・鳥居きみ子
    
    あとがき
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    著者紹介

    山本 志乃(やまもと しの)
    1965年鳥取県生まれ。神奈川大学国際日本学部歴史民俗学科教授。博士(文学)。民俗学専攻。定期市や行商に携わる人たちの生活誌、庶民の信仰の旅、女性の旅などについて調査研究を行っている。 著書に『団体旅行の文化史―旅の大衆化とその系譜』(創元社、第14回鉄道史学会住田奨励賞(第二部門書籍の部)受賞)、『「市」に立つ―定期市の民俗誌』(創元社)、『行商列車―〈カンカン部隊〉を追いかけて』(創元社、第42回交通図書賞(歴史部門)受賞)、『女の旅―幕末維新から明治期の11人』(中公新書)、『日本の民俗3 物と人の交流』(吉川弘文館、共著)などがある。

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